その33 健康診断(法定健診)後の面談
明けましておめでとうございます。宴会もやっていいのか悪いのか、もやもやした年末でした。大晦日のテレビでは、代々木公園での年越し参拝が超満員の様子が映し出され、今年一年の熱気が伝わってきます。お祈りの定番は、健康、家内安全、合格祈願などでしょうか。

今回のテーマは、健康診断(法定健診)後の面談についてです。

昨年、皆さんの健康診断結果を見直しました。対象は、産業医を担当している3社の計456人です。産業医として健康診断後に面談していただく方の基準は「要治療」の中で急を要する方や「要経過観察」で30代以下の方を考えています。

男性のワースト5は「肝酵素上昇」「高脂質異常」「肥満」「高血圧」「高尿酸血症」で、女性では「脂質異常」「肝酵素上昇」「貧血」「高血圧」「肥満」でした。異常の程度によって「要経過観察」または「要治療」と判定されます。「要治療」はもちろん医療機関を受診する必要がありますが「要経過観察」では受診されない方が多いと思います。

「要経過観察」の人こそ、医療機関を受診していただくようお勧めします。そして、血液検査で異常値を認めたときは、必ず2?3ヶ月後に再検査をするようにしてください。中には「一度受診して薬を出されたら、一生のまなければならない」とか「家で血圧を測るといつも正常だから大丈夫」などと、現実から目を背けて放っておく人がいます。そのような方は、毎年しつこく面談させていただきますw。

内科の診療は、薬を出すことだけではありません。最も大切なことは「健康への意識を高めること」です。「運動」「食事」「嗜好」を改善することが、服薬以上に重要です。我々臨床医は薬を処方するだけでなく、患者さんの生活習慣に焦点を当て、自己管理を促すことを心がけています。基本は、①毎日体重を測る、②カロリー控えめ、③飲酒、喫煙を控える、④股関節、肩関節ストレッチ、⑤息の上がる短時間の運動、です。

このような話をすると「忙しくて時間がなくて」「ストレスで食べてしまうんです」などとおっしゃる方もいらっしゃいます。確かにご自分の意思だけで食事・運動療法を継続することは、難しいものがあります。最近ではジムもトレーナーの指導を受けて行う、パーソナルトレーニングが人気です。月に数万円かかる場合が多いですが、トレーナーがいるといないとではやる気も変わってくると思います。

病院の診察代は初診料2,830円の3割(849円)です。気になる症状をインターネットでいろいろ調べる方がいますが、素人が調べると頓珍漢な情報ばかり拾ってきてしまいます。私も患者さんの症状についてインターネット検索をしますが、英文で調べるので情報量が多く、信頼できる順番に表示されます。皮膚所見を写真で撮影して、画像検索することもできます。いずれにせよ、得られた情報を吟味するための知識と経験が必要です。ぜひ、お気軽に病院を受診してください。

生活習慣を是正したにもかかわらず、半年かかっても検査値が正常範囲に戻らないときは、少量の薬を早めに始めた方がいいと思います。早めに服用することで、数値を正常範囲に戻すと、体内のシステムがうまく回り始め、体の疲れが溜まりにくくなります。生活習慣の改善によって薬物を中止できることもあります。

一方で、会社の健康診断(法定健診)を軽視しているわけではないと思いますが「自分は人間ドックを受けているからそちらの結果を見てからにする」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、人間ドックは医療というよりはビジネスなので「過剰診断」「過剰治療」について留意する必要があります。人間ドックについては「健康一口メモその14(https://www.sannoclinic.jp/kenko.html#14)で解説していますので、ご参考ください。

最後に繰り返しますが、健康診断で「要治療」の人はもちろん「要経過観察」の人もぜひ医療機関を受診してみてください。

個別のご相談がある方は、人事部担当者に産業医面談希望とお伝えください。人事部を通さず、直接産業医宛にメールしていただいても構いません。個人情報は守秘し、事業者への報告が必要な時は、内容を加工して行います。

本年も健やかな1年を迎えられますよう、自己管理をよろしくお願いいたします。

以上です。
2022.01.06 19:44 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
その32 咳喘息について ー長引く咳に咳止めは効きませんー
空気が乾燥して寒くなってきました。マスクをつける習慣がついて、気道の乾燥は緩和されているかもしれません。この時期になるとコンコンと咳き込む人が多くなってきます。定義上、3週間以上続く咳を遷延性咳嗽(がいそう=咳の医学用語)といい、レントゲン検査や血液検査の適応となります。

一般に、咳を訴えて病院に行くと、咳き止めが処方され、1週間続くと抗菌薬が追加されます。それでも治らないとレントゲンや血液検査が行われて、肺炎でないことが確認されます。それらの検査で異常がない場合は咳喘息と診断されます。

咳喘息という病名を聞いた事がありますか?喘息の軽いバージョンのことです。喘息では気管支の炎症により、気道(空気の通り道)が狭くなり、呼吸をする時にピューピュー音がします。喘息の人は横になると重力の関係で、気道の腫れが強くなり余計に苦しくなるので、机に伏せる様にして休まなければなりません。

私が研修医だった30年前頃は、夜になると多くの喘息患者さんが発作を起こして、救急外来を受診する人が多く、入院になる人も少なくありませんでした。1978年にステロイドの吸入が国内で発売されましたが、その使用は重症患者のみに限定されていました。2009年の喘息治療ガイドライン(JGL2009)で初めて、ステロイド吸入が軽症喘息の第一選択薬に推奨される様になったのです。それ以降、喘息発作で病院を受診する人は激減しました。

ステロイドという薬は、副作用が強いイメージがあるせいか「ステロイドはちょっと抵抗があるので、咳止めをください」という方もたまにいらっしゃいます。全ての咳止めは麻酔作用がありますので、眠くなったり物の見え方がおかしくなったりするなどの副作用があります。咳止めは、気管支の炎症によって起こりやすくなった咳反射を、脳を抑制することで抑える非根本的な治療です。ですから「1ヶ月以上咳止めを飲み続けているけど咳が止まりません」という方はたまにいらっしゃいます。

一方吸入ステロイドも副作用があります。薬を吸い込んだ後、うがいをしないと口内炎ができたり、カンジダというカビが喉に生える場合があります。これらの副作用は、吸入をやめなくても、薬ですぐに治りますので心配ありません。吸入直後にうがいをすることで防げます。吸入薬の中にステロイドに気管支拡張薬(βブロッカー)が追加されている合剤があり、気管支拡張薬は動悸や手の震えの副作用があります。咳喘息であればステロイド単剤で十分です(おすすめはアズマネックス)。

風邪を引くと咳が残るという人は、咳喘息の症状が疑われます。ぜひ呼吸器専門の病院で相談してみてください。特に花粉症が強い方、蕁麻疹がある方、小児喘息の既往がある方は要注意です。

以上です。
2021.12.03 19:43 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
その31  わかってきた新型コロナの特徴とこの冬の対策
今回は1年8ヶ月の新型コロナ感染症についての知見をまとめてみたいと思います。

新型コロナワクチンは武漢株以外には効果が低下する
日本同様70%以上の国民が接種済みのイギリス、イスラエル、シンガポールでも2021年10月より感染者が増加しています。武漢株に対して95%以上の効果を持つワクチンですが、RNAウイルスである新型コロナウイルスは自己修復能が乏しいため、2週間に1度の割合でSタンパク(ウイルス表面にあるタンパク質)の変異が起こっており、Sタンパクのみを標的としたワクチンの効果はどんどん低下します。

半端ない新型コロナワクチンの副反応
新型コロナワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ)のいずれのワクチンも、2人に1人以上の割合で高熱や倦怠感をきたし、接種翌日は休養が必要です。ファイザー発表の接種後の発熱は6人に1人でしたが、日本人に於いては副反応の頻度が高く、中には40度近い熱が数日続く人もいました。こんなに副反応の強いワクチンは類を見ません。来年秋に上梓予定の、不活化ワクチン(KMバイオ)が待ち遠しいです。

新型コロナワクチンは日本人には不要
アメリカ、イスラエルではワクチン接種後の罹患率(新型コロナに罹る人)は、接種前の10分の1に減少しました。それでもワクチン接種前の日本人の3倍かかりやすい状態です。世界の状況を見ると、アジア人では感染率も死亡率も低くなっています。上記のような副反応を考慮すると、50代以下の健康な人は、ワクチンを受けない方がいいと思います。すでに日本国民の70%以上が接種していますが。。。米国では5歳から11歳へのワクチン接種が始まっていますが、来年秋まで待ちましょう。

ワクチンによって軽症化しているのではなく、単にウイルス変異によって軽症化している
ワクチンが導入される以前の第1波、第2波は世界中でほぼ同時に始まり自然消滅しています。ジョンズホプキンス大学サイトで、世界の感染者数と死亡者数のグラフを眺めていると、ワクチン導入以前であっても、時間経過とともに死亡率が低下していることがわかります。

ウイルス流行と消退は自然現象
「第5波が消失したのはワクチン接種の影響」と述べる専門家が多いですが、コロナウイルスのような不安定(RNA一本鎖)なウイルスは、流行しすぎるとホスト(ヒト)の免疫が高まるため、それから逃れようとして(免疫逃避)変異傾向が強まり、複製ミスが起こり、自滅すると考えられています。コロナの流行は、イギリスのようにいきなりロックダウン解除するようなことがなければ、正規分布の形で推移します。

インフルエンザワクチンの有効性は新型コロナワクチンのそれを上回る
罹患率が5人に1人のインフルエンザと100人に1人の新型コロナ。ワクチンの効果efficacy (相対危険度低下)は、インフルエンザで70%、新型コロナで95%です。有効性effectiveness (絶対危険度低下)は、インフルエンザは1.6%(60人に1人の予防に寄与する NNV=60)、新型コロナは0.7%(130人に1人の予防に寄与するNNV=130)。実社会では、効果の低いインフルエンザの方が、効果の高い新型コロナワクチンより、有効性が高いのです。また、インフルエンザワクチンが、新型コロナ感染の予防効果があるとの報告も出ています。インフルエンザワクチンは、副反応もほとんどないのでぜひ接種しましょう。

第6波は必ず来る?
ウイルス感染(コロナ以外も含め)は台風と同じ自然現象なので、必ず定期的に流行します。ロックダウンしてもワクチンを打っても必ず流行は抑えられません。動物が媒介しますので。PCRや抗原検査を頻回に行っても無意味です。コロナであれば変異を重ねてさらに重症化しにくくなると思われます。もし今年インフルエンザが流行れば、ここ2年間インフルエンザの患者はほぼゼロでしたので、人々の免疫も低下していることもあって、爆発的に増えるでしょう。インフルエンザは子供に罹患しやすく、肺炎や脳症に至ることもあるので注意が必要です。

今年の冬への備え
1)インフルエンザワクチンを打ちましょう。

2)高血圧、糖尿病、肥満、喘息がある人は、年齢に関わらず肺炎球菌ワクチン(プレベナー、2ヶ月後にニューモバックス)を打ちましょう。

3)体調管理と他人へ感染させないような生活を心がけましょう。
私も健康な50代(58歳、孫1人)のため新型コロナワクチンは打っていません。インフルエンザ、肺炎球菌2種、日本脳炎を打ちました。お酒(燗酒)を毎日2合飲んでいます。健康診断で指摘事項はありません。自己管理はストレッチを毎日、筋トレは1日おきにやっています。毎朝犬(柴犬、ハチ)の散歩をしています。新型コロナの患者さんも数十人ですが診察することができました。

皆さんも必要なワクチンを接種し、自己管理を怠らず、今年の冬を無事に乗り越えましょう。来年初めには新型コロナも指定感染症から外れ、インフルエンザ同様の扱いになるものと思われます。そうすればまた、大勢でワイワイやることができるようになるでしょう。

以上です。

Coronavirus COVID-19 Global Cases (Johns Hopkins University)
Effectiveness of Covid-19 Vaccines against the B.1.617.2 (Delta) Variant
N Engl J Med. 2021 Aug 12;385(7):585-594.

H.H., Boucau J., Bowman K., et al. Persistence and Evolution of SARS-CoV-2 in an
immunocompromised host. N. Engl. J. Med. 2020;383:2291?2293.

Transmission, infectivity, and neutralization of a spike L452R SARS-CoV-2 variant. Deng X, et al.
Cell. 2021 Jun 24;184(13):3426-3437.e8.
2021.11.05 19:43 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
その30  ぼんやり(unfocus)のススメ
10月1日から緊急事態宣言が解除され、新型コロナの第5波も収まりつつあります。通勤電車の混み具合が増してきたように感じます。座って寝ている人もいますが、起きている人はほとんど本を読んだりスマホを見ています。

今日のテーマは、ぼんやり(unfocus)の勧めです。

2001年に米国の権威ある医学誌に、Default Brain Network(既定の脳内ネットワーク:DBN)という概念*が発表されました。DBNは、車のエンジンで言えばアイドリングのような状態で、アクセルを踏んでいない時でも(集中していない時でも)静かに働いている、潜在的な脳の機能と言えます。車はずっとアクセルを踏み続けていると、エンジンが熱くなりすぎて、ピストンとシリンダーが溶けて動かなくなる「焼け付き(オーバーヒート)」を起こしてしまいます。

つまり、過度に集中しすぎると脳がオーバーヒートを起こし、高次脳機能が一時的に低下してしまうのです。高次脳機能とは、注意、記憶、学習、計画遂行(てきぱきと仕事をこなすこと)、感情などを指します。低次脳機能という用語はありませんが、視覚野、聴覚野、運動野、知覚野という脳の基本的領域が複雑に連絡(連合野)し合い、高次脳機能を形成しています**。

一方でDBNは、脳内に保存されている情報をスキャンする状態であるため、思わぬアイデアが閃いたり、環境変化に対応しやすくなる、考えが柔軟になることがわかっています。集中が長時間にわたると、DBNが働かず、他人との柔軟な交流が図れなくなります。集中しない時間(ぼんやり時間)が大切なのです。ぼんやりすることで心が柔軟(psychological flexibility)になり、いわば精神的なストレッチと言ってもいいでしょう。

DBNは、次のような時に活性化すると言われています。公園をぶらぶら歩く、芝生に寝っ転がって空を眺める、編み物、ガーデニングにいそしむ、自分の過去の思い出に浸ったり、将来の夢や恋人を想ったりする時などです。過去のあらゆる情報が統合されて、思考の幅が広がります。同時に他人の気持ちを汲み取りやすくなり、組織をまとめるにも役立ちます。

実際にアスリートはパフォーマンスを発揮するために、視線をunfocusすることが有用と言われています***。一点に集中するような視線は、首の筋肉を硬直させ、体の動くを妨げます。武道の教えでも、構えるときは相手を含めて周囲の風景全体を捉えるようにと習います。相手を睨みつけるような視線は、反射神経を鈍らせるからです。

長時間PCのモニターに集中している毎日ですが、たまにはぼんやり時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

と言いつつ、満員電車の中でこの原稿を書いていますw。

* A default mode of brain function. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 https://doi.org/10.1073/pnas.98.2.676

** 高次脳機能 平成帝京大学 臨床心理学研究科 中島恵子 https://www.normanet.ne.jp/~RPA/index2_1.html

*** 理学療法士 中野崇氏 https://jarta.jp/about/trainingtheory/#c
2021.10.07 19:42 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
その29  新型コロナにかかったらどうする?どうなる?
朝夕涼しい風が吹き、秋の気配が感じられるようになってきました。

新型コロナはデルタ株による第5波が猛威を振るい、ワイドショーでは自宅療養者の症状が急に悪化しても、入院できないという差し迫った映像を流しています。中には乳児が新型コロナに感染し、人工呼吸を受けているシーンも放映されています。

そろそろ皆さんの周りにも、新型コロナに感染した人が散見されるのではないでしょうか。明日は我が身かもしれません。或いは家族がかかるかもしれません。

今日のテーマは「新型コロナにかかったらどうする?どうなる?」です。

もし家族が感染したら、自身は濃厚接触者です。家族が治癒(発症後10日間)してから、更に14日間の経過観察が必要です。家族が治るまで10日間、それから更に14日間、計24日の自宅待機が保健所から指示されるそうです。これは今でも厚労省のサイト*1に示されていますが、その根拠は昨年2月の日本環境感染学会の提言*2です。

しかし、これではエッセンシャルワーカーの仕事が成り立ちませんので、今年の8月になって「医療従事者に限っては濃厚接触者でもすぐに勤務できる」という文書が厚労省から示されました。

濃厚接触者の定義は、①患者と同居、車内や飛行機で長時間接触、②マスクなしで患者と15分以上1?2mで接触があった場合、などですが、保健所が総合的に判断して決定します*3。

もし職場で新型コロナ感染者が出たらどうなるでしょう。最近はリモートワーク中心になっていますので、そのような場合は問題ないと思います。もしオフィス出勤者が発症するとどうでしょうか。1年ぐらい前は、当ビルのオフィスでも感染者が出て、保健所の指示で濃厚接触者のPCR検査が行われました。

最近では、「初動対応における接触者」への検査*4が重要視されています。すなわち社内で感染者が発生した時、保健所の指示を待たずに、患者との接触が考えられる者に、抗原検査やPCR検査を積極的に行うことが求められています。

もし自分自身がコロナにかかったらどうなるのでしょう。病院でコロナと診断されると24?48時間以内に居住地の保健所から電話連絡があります。感染経路などについての質問の後、健康観察が行われ、軽症(酸素飽和度96%以上または基礎疾患のない人)であれば、宿泊療養を勧められます。ホテル宿泊を希望しない人は自宅療養になります。中等症(酸素飽和度95%以下で基礎疾患のある人)は、入院の指示があります。

現在、都内のコロナ病床6000床のうち4200床が入院中で、入院基準が厳しくなっています。軽症者は原則ホテルでの健康観察を勧められますが、9月1日時点でのホテル療養者は2180人(3370受入可能)、自宅療養は約20000人で、ほどんどの人が自宅療養を希望しています。入院調整中は6800人です*5。狭い部屋に閉じ込められて、好きなものを食べられない環境は、適切な療養環境とはいえませんから当然の結果だと思います。

自宅療養中は毎日一度保健所から健康観察の電話が入ります。パルスオキシメーターの貸与と1週間分の食料(カップ麺、レトルト食品)が届きます(発症から4?5日かかる)。一人暮らしの人は、デリバリーで食料を買うか、近所で必要最低限の買い物をします。発症後10日かつ解熱後72時間経過した時点で治癒と判断され、療養は終了です。

新型コロナ感染症の特徴として、息苦しさを感じる脳の部分が麻痺していることがあり、急激な呼吸不全をきたしても患者本人が気づかないことがあります。8月13日になって厚労省は医療機関に対して、「PCR検査を行った医療機関が積極的に健康観察を行うようこと」という通達を出しました。

新型コロナウイルスの病期は以下のとおりです。

①ウイルス感染期→症状は熱、頭痛、咽頭痛、咳などで1週間前後で改善。8?9割の人はここで治ります。治療は解熱剤、漢方薬(麻黄湯、葛根湯)、ハイリスク患者には抗ウイルス薬(レムデシビル、抗体カクテル)を点滴します(総合病院の外来に限る)。

②免疫介在性炎症期→発症7?10日後より呼吸困難が急速に進行し、入院が必要です。治療は酸素療法に加えて、ステロイド、抗炎症薬(バリシチニブ)の点滴を行います。

③後遺症期→慢性的な倦怠感、疼痛、嗅覚・味覚異常が数ヶ月以上続くことがあります。治療は確立したものはありませんが、漢方薬(補中益気湯、八味丸など)、抗うつ薬などが使用されます。

ここからは私見です。

政府や分科会は、今だにPCR検査や抗原検査を積極的に行うようにと発信しています。しかし、新型コロナもここまで流行してくると全数把握の意味は薄れていると思います。インフルエンザと異なり診断がついても治療薬はなく、特に11歳以下の小児・乳幼児はワクチンすら打てないので、完全な制圧を目指すことに無理があります。

若くて元気な人が発熱や濃厚接触したときに、すぐにPCR検査を受ける必要はないと思います。診断がついても治療法はありませんし、若者はすぐに治ります。保健所業務も手一杯です。濃厚接触者であってもPCRは行わず、感染対策をしっかりして行動を最小限にすればいいのではないでしょうか。もちろん基礎疾患のある人や高齢者はこの限りではありません。

今度はμ株なんぞが話題になっていますが、そろそろ個々人が冷静な行動をとる時期だと思います。 以上です。

*1 厚生労働省サイト 
*2 令和2年2月28日 日本環境感染学会提言 
*3 令和3年8月17日  東京都福祉保健局感染症対策部長
*4 令和3年6月 25 日  厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部
*5 新型コロナウイルス感染症の療養者の状況(厚労省サイト)
2021.09.03 19:41 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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