その7 秋の病気
アレルギー性鼻炎、喘息(長引く咳)

秋は夏に繁殖したダニが死滅し、それがアレルゲンとなって花粉症のような症状が出やすいです。ブタクサ、イネ科(公園の雑草)など秋も花粉も増えます。鼻水、喉の痛み、咳などの風邪症状が長く続く時は、花粉症と同じ抗ヒスタミン薬が有効です。ステロイドの点鼻や吸入も有効です。
パブロンゴールドやベンザエースなど市販薬はエフェドリンやコデインという中枢神経刺激役が入っていますので、依存性があり(アスリートのドーピングではアウト)、薬が切れてくると体調が悪くなるため、恒常的に服用している人をたまに見かけます。

漢方の風邪薬で有名な麻黄湯、葛根湯にも麻黄というエフェドリン様成分が入っていますが、天然物は合成エフェドリンと違って依存性が認められません。生薬の奥深さを感じます。

体を温めるなどと言って、アルコールを少し飲む人がいますが、アルコールは鼻、喉、気管支、胃の粘膜を腫らすので、白湯やコンソメスープを飲みましょう。

メンタル不調

夏の疲れ、天候不純、日照時間の減少及び朝晩の冷えなどで気分がすぐれない、やる気がしないなどメンタル不調が現れやすい時期です。

このような症状を予防するために、太陽の光をなるべく浴びる、短時間の運動、早起きする、部屋を片付ける、などして気分をスッキリさせるように心がけましょう。

仕事のことを考えてなかなか眠れない人は、NHKラジオ第一放送を聴きながら寝ると、知らないうちに眠ってしまいますよ。

以上です。
2019.11.06 19:33 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
その6 成人のワクチンについて
成人のワクチンについて

今年のインフルエンザの流行は早くも始まっており、千代田区内の小学校では10人単位で発生しています。

A型は抗原性の大きな違いからこれまで16種類のHAと9種類のNAが報告されており、その組み合わせによってH1N1?H16N9までの亜型に分類されます(144種類)。B型は2種類の亜型があります。他にC型、D型も発見されていますが、前者は病原性が弱く、後者はウシにしか感染しないので、ワクチンの対象にはなりませんw。

今年のワクチンはA型2種類(H1N1,H3N2)、B型2種類の抗原が含まれています。当院では4000円(税込み)ですが、自由価格なのでもっと安いところもあると思います。ワクチンは感染を防ぐというよりは、感染後の症状を軽くするものであり、最近は体温が36度台のインフルエンザの方が多く見られます。

そのほか成人に必要な予防接種は、

麻疹(はしか)

水痘(水ぼうそう、帯状疱疹と共通)

風疹

ムンプス(おたふく)

65歳以上では、
肺炎球菌ワクチン(5年おき)
があります。

麻疹、水痘、風疹、ムンプス(メジャー4)は、子供の頃にかかった人でも2?30年すると抗体価が下がってきます。

特に麻疹(麻疹)と水痘(2回目は帯状疱疹として発症する)は成人後にかかると大変重症化する場合が多く、特に子供と接触する機会のある方は、4種類の抗体価を調べてみることをお勧めします。血液検査で1週間ぐらいでわかります。

もし抗体が少ない場合はすぐにワクチン接種が必要です。

現在麻疹と風疹は混合ワクチン(MRワクチン)になりましたので、どちらか一方の抗体がない方でも両方のワクチンを打ちます。4種類全部抗体がない方は3本のワクチンを同時に打ちます。

値段はホームページをご参照ください(。

注射はいくつになっても嫌なものですが、病気になれば4-5日は辛い思いをします。ワクチンは医師が必要と認めれば同時に接種できます。

追記(2021-01-29)肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は日本では5年おきに定期接種の案内が来ますが、接種は1度だけです。何度も打つ必要はありません。喘息や糖尿病などをお持ちの方は、それに加えて小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー13)を接種することをおすすめします。CDC | 厚労省ちらし(pdf)

以上です。
2019.10.06 19:33 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
その5 ショートナップの勧め
ショートナップの勧め?

皆さんは毎日昼寝をしていますか?オフィスで昼なんてとんでもない、そん場所もないし、時間もない、という方がほとんどだと思います。そんな皆さんに今日はshort nap (短時間の居眠り)をお勧めします。昼寝が脳の疲労を回復させるという多くの報告があります。

NASA nap
アメリカ航空宇宙局NASAでは、宇宙飛行士に40分の昼寝を義務づけているそうです。疲労回復、記憶力、認知能力の向上が証明されています。

power nap
コーネル大学心理学教授のJames Maasは、15?20分の昼寝が睡眠負債を補うために最も適した時間と研究報告しています。眠るのは座ったままでも机に枕を載せて眠ってもいいそうです。

short nap
上の二つはグーグー眠る昼寝ですが、short napは1分以内眼を閉じるだけです。人間の脳は眼を閉じるだけで休まります。脳波では開眼時はβ波ですが、閉眼するとα波に変わり、振動数がすこし遅くなり、脳がリラックスします。

EMDR

そこで、体の力を抜いてゆっくり呼吸しながら眼を閉じてみます。できればスマホで30?60秒タイマーを設定してみてください。そしてここからが重要ですが、目を閉じたまま眼球を左右に何度も動かします。速度は1秒ずつ右、左、右、左と。これはEMDR (Eye movement desensitization and reprocessing: 眼球運動による脱感作と再構成)という精神的トラウマの治療に使われている方法です。

オフィスでも電車の中でも簡単にできますのでやってみてください。とても頭と心がすっきりしますよ。イライラしたり、不安があるときは特に有効です。私も精神科の治療で使っています。眼球筋が鍛えられて、目力もつきますよ。

以上です
2019.09.06 19:32 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ
その4 熱疲労heat exhaustion について
毎日朝から30度を超える毎日です。通勤だけでヘトヘトになってしまいますね。天気予報などで「熱中症heat stroke に注意しましょう」という注意がされていますが、熱中症とは、意識障害、筋攣縮などをきたし生命の危険を伴う重篤な状態です。高温下に見られる生体の変化(熱疲労)を早期に解消することが重要です。

熱疲労の症状

頭痛
高温下では身体中の血管が熱を放散するために広がります。脳内の血管も広がって頭蓋内の圧力が高くなりますので、首筋やこめかみを冷やしましょう。

めまい
脱水と血管拡張によって血圧が下がります。脳への血流が低下しますので横になって足を少し高くして、脳への血流を増やしましょう。

鼻血
血管が広がるので鼻の粘膜から出血しやすくなります。特にアレルギー鼻炎の方は出やすいです。首の後ろを冷やして、「考える人」のポーズで鼻翼の少し上をつまみます。

胃もたれ、吐き気、下痢
冷たい飲み物を飲むと胃腸の血管が収縮して、胃腸の動きが悪くなります。夏でも理想的な飲み物は白湯です。また、食事の直前や直後に大量の水を飲むと、胃酸が薄まり消化に時間がかかります。ちょこちょこ水を飲むよりは食事の1時間前に500mlぐらいまとめて飲みましょう。寝起きにもそのくらい一気に飲みます。

その他
じんましん、足のつり、口唇ヘルペス、帯状疱疹などは夏に多く見られます。

熱疲労予防

1) 十分な睡眠

2) 水分は常温で摂取する。

3) 味噌汁を毎日飲む。塩分補給が大切です。

4) 飲酒を控える。アルコールの利尿作用で脱水になります。

5) 満腹にしない。消化に使うエネルギーは体力を消耗させます。

6) オフィスでこまめにストレッチをする。伸びをするだけでもいいですよ。

病院はいつ行く?

気持ち悪くて水も飲めないような時は、水分の点滴をします。 当院ではマッサージチェアで点滴しますので、気持ちいいですよ。

以上です
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その3 胃腸炎が流行っています
夏と冬は胃腸炎のウイルスが流行りますので、食欲がなくなったり、お腹を壊す人が多くなってきます。原因のウイルスは何千種類もありますので、色々な場面で暴露されてしまいますので、予防は手洗い、うがい、そして免疫力を高めることです。

免疫力を高める生活習慣 睡眠
まとまった睡眠が取れない方は、昼に15分でもいいので仮眠をとりましょう。

免疫力を高める生活習慣 食事
 発酵食品(納豆、ぬか漬け、味噌など)を取るようにしましょう。ただし、お酒は控えめに。

免疫力を高める食生活 運動
汗をかくような運動を毎日5分でいいので行いましょう。オススメはエア縄跳び(縄を持たないでその場跳び)3分、腿上げ30秒。私も毎日やってます。

免疫力を高める食生活 脱力
目を閉じて、全身の力を抜きます。ゆっくり息を吐いてお腹を凹ませます。温泉に浸かっている感覚で。

もし、かかってしまったら?
1) お腹を温めて(腹巻、掌で)、暖かい水分をこまめにとります。

2) 吐き気がある時は固形物は控えましょう(お粥、うどんはよく噛まないでお腹に入れると消化が悪い?食べる時はよく噛んで唾液を混ぜてからお腹に入れる)。

3) 便意を感じてもすぐにトイレに行かない。お腹を温めて脱力してやり過ごすように。2?3分我慢するとやり過ごせます。腸での水分吸収が促進され、早く治ります。

病院はいつ行く?
病院では原則的には乳酸菌製剤(ビオフェルミンなど)を出すだけです。 高熱が2日続いたり、気持ち悪くて水分も取れない時は点滴することもあります。 食中毒を疑う時は抗菌薬を処方します。 海外出張後は特にお気をつけください(旅行下痢症)。

以上です。
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