RSVワクチン
一般的名称 販売開始年月 製造販売元 製法の概要 用法及び用量
アレックスビー筋注用 組換えRSウイルスワクチン 2024年 1月 グラクソ・スミスクライン株式会社 アジュバントを含有
融合タンパク質(PreF3)抗原を精製し、安定剤を加え充填した後、凍結乾燥 60歳以上の者に1回0.5mLを筋肉内に接種
アブリスボ筋注用 組換えRSウイルスワクチン 2024年 5月 ファイザー株式会社 RSウイルスサブグループA(RSV-A)融合前Fタンパク質抗原
RSウイルスサブグループB(RSV-B)融合前Fタンパク質抗原

【私見】
いずれも遺伝子組換えタンパク質であり、不要な抗原抗体反応を惹起する可能性がある。ウイルスをホルマリン処理した不活化ワクチンならまだしも。日本での用法は60歳以上となっているが、CDCでは75歳以上となっており、ほとんど受ける意味がないのでは。。。75歳以上はもういいでしょう。

RSV感染症は罹患しても検出することが困難であり、その細胞障害性は乏しく、ホストの免疫応答により炎症が惹起されると言われている。発熱や倦怠感などの全身症状が乏しく、咳や痰がウイルス感染の免疫応答によって起こるならば、ステロイド吸入薬や抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬などで対症療法するのみです。成人ではRSVの抗原検査は行いませんし、行ったとしても感度は2-30%と言われています。つまり、喘息症状で内科を受診する人の一定の割合でRSV感染症が紛れていることが考えられます。

RSVに対する成人適応の抗ウイルス薬はありません。乳幼児向けはpalivizumab(シナジス筋注、製造アストラゼネカ、2013年2月発売,薬価1V100mg10万円)、nirsevimab(ベイ フォータス筋注 50 mg シリンジ、同筋注 100 mg シリンジ、製造アストラゼネカ、2024年5月発売、薬価100mgで90万)があります。乳幼児は重症化するので、必要不可欠な薬剤ですね。

以上のような理由で、成人においてはRSV感染診断意義は乏しいため、それに対するワクチンを接種する意義も乏しいと思い、当院では取り扱いを見合わせています。
2024.11.20 17:23 | pmlink.png 固定リンク | folder.png つぶやき
その67 冬のスキンケア(ステロイドによるプロアクティブ療法)
秋冬は空気の乾燥により、角質の水分が減少して、皮膚のバリア機能が低下します。女性の皆さんは化粧水、日焼け止め、乳液、美容液などでこまめに肌のお手入れをしていると思います。

保湿剤(moistulizer)には、ワセリン(油性、個体)やセラミドのように皮膚にバリアを作り皮膚中の水分蒸発を防ぐエモリエント(emorients)と、グリセリン(水性、液体)やヒアルロン酸のように皮膚の中に潤いを与えるヒューメクタント(humectant)があります。つまり化粧水(ヒューメクタント)で水分を与えて、乳液でそれが蒸発しないように蓋(エモリエント)をするのです。

ところが、敏感肌の方(花粉症、じんましん、喘息、湿疹ができやすい方)は、化粧水や乳液の使用をおすすめしません。これらに含まれるエタノールや香料が肌に刺激を与えるため、皮膚に炎症を起こしてしまうからです。



上の表は保湿力の強さを物質ごとに並べたものです。セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンはいずれも皮膚を構成する物質で、水分保持機能が高い反面、バリア機能は高くありません。グリセリンも液体であり、吸湿性は高いもののバリア機能はワセリンにかないません。そこで保湿効果が最も高く、低価格のワセリンがおすすめです。

ワセリンは皮膚から水分の蒸発を抑えるだけでなく、皮膚からの熱の発散も抑えるため、塗ったところはじんわりと温かく感じます。また、肌擦れを防いだり、花粉やハウスダストの鼻への侵入を防ぐ作用もあります。デメリットはベタつきがありますが、ティッシュで抑えて10分ぐらいすると気にならなくなります。

最近はオールインワンと言って、化粧水、乳液、サンスクリーン、ファンデーションが合わさったDDクリームなどがありますが、刺激物が多く、皮膚表面の保護は必要です。ワセリン、サンスクリーン、ファンデーションを順番に塗るのがいいでしょう。



図のように、年配者の肌は若年者の肌に比べ、角質層(細胞の核がない表層部分、厚さ0.02mm)の配列が粗いのがわかります。つまり、年配者では、どんなに皮膚に潤いを加えても、それを閉じ込めるエモリエントが重要になるのです。



ステロイドのプロアクティブ療法*
正しいスキンケアを毎日行っていても、肌が乾燥したり赤くなったり痒くなったりする人は、保湿だけでは症状は改善しません。正常な肌にステロイド軟膏(白血球の働きを抑えて炎症を抑える)を週に1−2回塗ることで、副作用なく皮膚の炎症を予防することができます。塗り方は、左図のように1gの軟膏を両手の指先でよく伸ばして、トントンとタップします。目安は1gで両掌の面積です。炎症を起こしやすい部位は、顔や手の他、肘膝、下腿(膝から下)、乳頭、ウエストラインです。



以上です。                 *皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/q11.html 当院では2倍量の塗布を推奨しています。
2024.11.11 10:47 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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