その36 パワハラ防止法 (対話の重要性)
2022年4月から、パワハラ防止法が中小企業に於いても施行されます。
パワハラ防止法とは、改正労働施策総合推進法の通称です。 パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が、企業にはじめて義務付けられました。大企業では2020年6月から施行されています。
企業における職場におけるパワハラ防止措置として
1.事業主の方針を周知・啓発
2.相談体制の整備
3.迅速で適切な事後対応
4.その他
となっています。
パワハラ指針では、職場におけるパワハラは、以下のように定義されています。
職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの要素を全て満たすもの(セクハラと異なり、客観性が求められます)
代表的な言動の類型として、6つの類型が例として示されています。
(1)身体的な攻撃 暴行や障害など
(2)精神的な攻撃 人格を否定するような言動、名誉毀損や侮辱、暴言など
(3)人間関係からの切り離し 仲間外しや無視など、職場での孤立を招くもの
(4)過大な要求 業務上不要なことや不可能なことの強制など
(5)過少な要求 程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること
厚生労働省「あかるい職場応援団」実施の調査データ(平成28年)によると、過去3年間に、実際にパワーハラスメントに関する相談を1件以上受けたことがある企業は回答企業全体の49.8%で、その8割がパワハラに該当するものでした。
今回特筆すべきことは、パワハラに起因する精神障害の労災認定基準も明確化された、点です。パワハラは精神的なストレスをもたらします。パワハラ防止法の改正においてパワハラの定義が明確化されたことを受けて、パワハラに関連する精神障害に関する労災認定基準も明確化されました。
具体的には、労災認定基準の要件の一つである「業務による心理的負荷」について評価表の中に「パワーハラスメント」という項目が新設されました。これにより、パワハラに起因する精神障害について、労災の認定判断がしやすくなりました。
昨年12月「部下を褒めない、叱らない、命じない。ー新しいリーダー論」が上梓されました。アドラー心理学の岸見一郎先生が執筆しています。要約しますと、
以下抜粋ーーー
リーダーと部下(メンバー)は対等である。
リーダーは次の3つの原則を守らなくてはならないと「先生」は主張します。
◎ 叱ってはいけない
◎ ほめてはいけない
◎ 命令してはいけない
わたしは叱ることは必要でないと考えています。改善を求めなければならないことがあれば、言葉で伝えればいいのです。それも即効性を求めてはいけません。手間暇をかけていわないといけません。緊急を要することであったら止めないといけませんが、それですら言葉を使えばいいのであって、感情的になる必要はありません。
ーーー抜粋終わり。
褒めない、叱らない、命じない、ならどうするか。対話することが大切です。対話とは、会話の中でも特に共通の目的意識を持つものを指します。会社での対話は、会社をよくしようという共通の目的を持つことが特徴です。
対話するには、意見が異なったとしても相手を尊重し、価値観をより深く理解するために質問をし、建設的な発言を積み重ねることが重要です。
ITC技術の発展によって世代間に価値観の相違が生まれ、対話にすれ違いが生じることが多くなっています。
生まれた年代別に
X世代(現代社会の中心 1965-80年頃の生まれ 42-57才) 高度成長、テレビ、電話、年功序列、努力、
Y世代(ミレニアル世代 1980-95年頃の生まれ 27-41才)、氷河期、インターネット、メール、ゆとり、
Z世代(デジタルネイティブ世代 1996年以降の生まれ 26才以下)スマホ、チャット、多様性、
などと分類されます。常識とされる知識や社会情勢は常に変化していくということです。
ちなみに私などX世代の前はベビーブーム世代(1945-1964)というそうです。
対話をする上で大切なことは、お互いの価値観を尊重し、意見が異なる時は質問を繰り返し、時間をかけて目的に到達させることです。これらの価値観の相違を理解していないと、良かれと思って教えたことがパワハラになるかもしれません。
X世代「受話器は静かに置きなさい」
Z世代「受話器って何ですか?」
以上です。
(参考文献)
明るい職場の応援団(厚労省)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
叱らない、褒めない、命じない。新しいリーダー論
2021年12月 岸見一郎著
“GENERATION X”
1951年 Robert Capa
パワハラ防止法とは、改正労働施策総合推進法の通称です。 パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が、企業にはじめて義務付けられました。大企業では2020年6月から施行されています。
企業における職場におけるパワハラ防止措置として
1.事業主の方針を周知・啓発
2.相談体制の整備
3.迅速で適切な事後対応
4.その他
となっています。
パワハラ指針では、職場におけるパワハラは、以下のように定義されています。
職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの要素を全て満たすもの(セクハラと異なり、客観性が求められます)
代表的な言動の類型として、6つの類型が例として示されています。
(1)身体的な攻撃 暴行や障害など
(2)精神的な攻撃 人格を否定するような言動、名誉毀損や侮辱、暴言など
(3)人間関係からの切り離し 仲間外しや無視など、職場での孤立を招くもの
(4)過大な要求 業務上不要なことや不可能なことの強制など
(5)過少な要求 程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること
厚生労働省「あかるい職場応援団」実施の調査データ(平成28年)によると、過去3年間に、実際にパワーハラスメントに関する相談を1件以上受けたことがある企業は回答企業全体の49.8%で、その8割がパワハラに該当するものでした。
今回特筆すべきことは、パワハラに起因する精神障害の労災認定基準も明確化された、点です。パワハラは精神的なストレスをもたらします。パワハラ防止法の改正においてパワハラの定義が明確化されたことを受けて、パワハラに関連する精神障害に関する労災認定基準も明確化されました。
具体的には、労災認定基準の要件の一つである「業務による心理的負荷」について評価表の中に「パワーハラスメント」という項目が新設されました。これにより、パワハラに起因する精神障害について、労災の認定判断がしやすくなりました。
昨年12月「部下を褒めない、叱らない、命じない。ー新しいリーダー論」が上梓されました。アドラー心理学の岸見一郎先生が執筆しています。要約しますと、
以下抜粋ーーー
リーダーと部下(メンバー)は対等である。
リーダーは次の3つの原則を守らなくてはならないと「先生」は主張します。
◎ 叱ってはいけない
◎ ほめてはいけない
◎ 命令してはいけない
わたしは叱ることは必要でないと考えています。改善を求めなければならないことがあれば、言葉で伝えればいいのです。それも即効性を求めてはいけません。手間暇をかけていわないといけません。緊急を要することであったら止めないといけませんが、それですら言葉を使えばいいのであって、感情的になる必要はありません。
ーーー抜粋終わり。
褒めない、叱らない、命じない、ならどうするか。対話することが大切です。対話とは、会話の中でも特に共通の目的意識を持つものを指します。会社での対話は、会社をよくしようという共通の目的を持つことが特徴です。
対話するには、意見が異なったとしても相手を尊重し、価値観をより深く理解するために質問をし、建設的な発言を積み重ねることが重要です。
ITC技術の発展によって世代間に価値観の相違が生まれ、対話にすれ違いが生じることが多くなっています。
生まれた年代別に
X世代(現代社会の中心 1965-80年頃の生まれ 42-57才) 高度成長、テレビ、電話、年功序列、努力、
Y世代(ミレニアル世代 1980-95年頃の生まれ 27-41才)、氷河期、インターネット、メール、ゆとり、
Z世代(デジタルネイティブ世代 1996年以降の生まれ 26才以下)スマホ、チャット、多様性、
などと分類されます。常識とされる知識や社会情勢は常に変化していくということです。
ちなみに私などX世代の前はベビーブーム世代(1945-1964)というそうです。
対話をする上で大切なことは、お互いの価値観を尊重し、意見が異なる時は質問を繰り返し、時間をかけて目的に到達させることです。これらの価値観の相違を理解していないと、良かれと思って教えたことがパワハラになるかもしれません。
X世代「受話器は静かに置きなさい」
Z世代「受話器って何ですか?」
以上です。
(参考文献)
明るい職場の応援団(厚労省)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
叱らない、褒めない、命じない。新しいリーダー論
2021年12月 岸見一郎著
“GENERATION X”
1951年 Robert Capa