その46 ストレス性胃炎(機能性胃腸障害)
胃の調子が悪い状態が半年以上続き、必要な検査で異常を認めないときは、機能性胃腸障害(いわゆるストレス性胃炎)と診断されます。つまりは胃の形態は正常(胃カメラではとても綺麗と言われます)ですが、胃の働きが悪いということです。症状としては、胃の痛み、腹部膨満感(お腹が貼る感じ)、悪心(吐きそうな感じ)、不全麻痺(すぐにお腹が一杯になったり、ゲップが出る)などがあります。

機能不全の原因は自律神経の緊張と考えられてします。緊張時は交感神経からアドレナリンが放出され、胃腸は収縮します。非緊張状態では副交感神経末端からアセチルコリンが放出され、胃腸は弛緩してよく動くようになります。このようにヒトの臓器は、車のアクセル(交感神経)ブレーキ(副交感神経)のように二重支配されています。



https://www.cghjournal.org/article/S1542-3565%2819%2930640-8/fulltext

上図のように、胃不全麻痺(gastroparesis)という概念があります。胃の蠕動運動が低下すると、胃から食物などが排出されるのが遅くなります。蠕動は副交感神経刺激で活発になりますが、緊張状態では低下します。女性では男性に比べ、生まれつき蠕動は弱く、特に月経前に黄体ホルモン値が上昇すると、蠕動低下は著しくなります。

精神的ストレスが強い状態では、胃の蠕動が低下するだけでなく、胃全体が収縮して硬くなります。そのため、食べ物を見たり歯を磨こうとしたりするだけで、吐き気を催したり痛みを感じたりすることがあります。そのような状態が続くと体重が減り、疲れやすくなったり意欲が低下したりします。

胃を弛緩させ蠕動を促進する方法(健胃法)
1)腹式呼吸
2)リラックス(瞑想、ヨガ、坐禅など)
3)運動、体操、ストレッチ
4)アルコール、糖分、カロリーを控える
5)お腹のマッサージ
などがあります。特に有効なのは「お腹を凹ませる(draw-in exercises)」です。これは仕事中でも電車の中でも、その気になればいつでもできる運動です。腹筋も鍛えられます。忙しくて運動する暇がないという方にぜひお勧めします。

行動科学の研究によるとという消化管と脳の密接な関係が明らかになっており、消化管は第二の脳と言われています。お腹の調子が悪いと不安になり、不安・緊張が高まるとお腹の調子が悪くなります。脳と消化管は迷走神経という神経で繋がっており、それぞれの臓器の情報交換をしています。

胃腸が弱い方は「健胃法」をぜひお試しください。

以上です。
2023.02.02 10:25 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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