その35 花粉症時期の点眼薬の使い方(あくびのすすめ)
今週から急に暖かくなっています。今年の2月の気温は、平年と比べて1.2度低かったそうですので、喜びはひとしおです。反対に気になるのが花粉症です。

2022年の花粉飛散量は例年の1.2倍でやや多いようですが、皆さんマスクをきちんとつけているので、喉と鼻の症状は少なく、目の症状を強く感じるようです。

今回のテーマは、花粉症の点眼薬の使い方です。

市販の点眼薬を見てみると、アレルカット(第一三共 738円)、アルガード(ロート 1436円)、アルピタット(武田 938円)となっています。これらの点眼薬の主成分は、クロモグリク酸ナトリウム(インタール、医薬品登録中止、抗アレルギー薬、1972年発売)、クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン、抗ヒスタミン薬、1953年発売)です。

ポララミンは第一世代抗ヒスタミン薬と呼ばれ、私が研修医(1990年代初頭)の頃には「口渇、便秘、眠気の副作用に注意すること」と言われていました。1994年に眠気の少ない、いわゆる第二世代と呼ばれるアレジオンが発売されてからは、第一世代は医療機関ではほとんど使用されず、副作用の眠気を利用して、市販の睡眠薬(正しくは睡眠改善薬、商品名ウット、ドリエルなど、一般名ジフェンヒドラミン、医薬品名レスタミン)として生き残っています。

市販の点眼薬を使うと眠くなったり頭が茫したりすることがあるので、使用は控えましょう。では処方される点眼薬はどうでしょうか。パタノール(オロパタジン)、アレジオン(エピナスチン、3500円、3割負担で1050円)は、いずれも第二世代の抗ヒスタミン点眼薬ですが、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸カリウム)が含まれています。このような点眼を毎日使用していると、目の周りに色素沈着をきたしたり、赤くかぶれたりすることがあり注意が必要です。

もう一種類、市販されていない点眼薬としては、ステロイドがあります。代表薬はフルメトロン(150円、3割負担で45円)。ステロイドは長期に連用すると眼圧上昇や細菌感染のリスクがありますが、目が充血して痒い時(結膜炎)は、1日2?3回点眼すれば1日で治ります。結膜炎の状態では、パタノールやアレジオンをいくら使っても治りません。

話をまとめます。

花粉症の治療は第二世代抗ヒスタミン薬を服用し、目が充血したり目脂が出たりするときだけ、ステロイド点眼を1?2日使用することをお勧めします。ステロイドは毎日点眼することは控えます。目が乾いたらあくびをするようにして涙の分泌を促します。抗ヒスタミン薬を服用していれば、涙の中に微量ですが第二世代抗ヒスタミン薬の成分が含まれるので目薬の代わりになります。

コンタクトレンズ装着中に点眼してもよいかという質問をよく受けますが、点眼薬に含まれる防腐剤はその粒子が大きいため、レンズと角膜の間に入ると角膜を傷つけることがあるので、どんな種類のコンタクトレンズでも外した状態で点眼するのが理想です。コンタクトレンズ装着中に乾燥が気になる方は、ヒアルロン酸含有の点眼薬(ヒアレインミニ、防腐剤無添加、1個11.8円、1ヶ月分60個で自己負担424円)をおすすめします。

この季節は風も強いので、本当なら眼鏡をかければいいのでしょうが、マスクのせいでメガネが曇るのでいけませんね。やはり基本は目を乾かさないように、30分に一度ぐらいは仕事の手を休めて、伸びをしながらあくびををすることでしょうか。目薬を使う代わりに努めてあくびをしましょう。

書き忘れましたが、花粉症の治療で最も有効なのはステロイド点鼻薬(アラミスト)です。

以上です。
2022.03.03 19:46 | pmlink.png 固定リンク | folder.png 健康一口メモ

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